スジエビ(シラサエビ)を飼おう

日本の湖や池、川に広く分布している淡水エビです。たまに薄い汽水にも生息するそうで、体長5センチ程度。大変丈夫です。

1999.7月採集


この個体はおなかにタマゴが入っています
 左の写真は体長5cm弱の個体で抱卵中です。このあとゾエアまでは発生しましたが、その後水槽内のいろんな生物に食べられてしまいました。残念。次回抱卵時にはスジエビ専用水槽で試したいと思っています。
 透明の生物というのは本当に不思議な感じ。目の下あたりはいつも食べたものの色が透けて見えます。

 海釣りではスジエビを「シラサエビ」と呼んで釣り餌に使用する事が多いようです。現在を含めて三回飼いましたが、二回までは釣り具屋出身のエビで、現在のものはダム湖産です。
(2002.6月現在では 近所の池産と琵琶湖産の個体を飼育しています)

酸欠には弱いです
 スジエビは野生でも数多く繁殖しており、容易に採集できますが、探し回ったり遠方から持ち帰る際の面倒を考えると、約100匹が500円程度で売っている釣り餌として売っているスジエビのほうも魅力的です。ありがたみは減るかもしれませんが、なかなかどうして丈夫です。

入手先は生き餌を置いている近所の釣り具屋さんでも購入できます。升などで量って入れてくれますが、いやになるほど(お店によっては100匹以上)入っています。
100匹もいては水槽中エビだらけになってしまいます。飼う用途だからと説明して、60cm水槽で飼うにしても 20匹くらいにしてもらったほうが無難です。魚と同居させるなら、60cm水槽でも10匹程度に抑えたほうがいいです。
なお、エビを持ち帰るために簡単なフタつきバケツと電池式のエアーポンプくらいは持っていったほうがいいでしょう。

これから飼おうという方に。

スジエビ基本情報


●基本的に淡水エビです
生き餌として海釣りに使っているからといって、100%海水では飼えません。基本的に淡水エビです。
しかし、ごく薄い汽水(海水よりはるかに薄い塩水)でも飼育できるのは確認しました。
●寿命は一年と少しです
 寿命は短く、10数ヶ月のサイクルの命で、春に抱卵。ゾエア放出後、大きな個体から寿命がつきていくそうです。
●エビは交尾してから抱卵します
一度聞かれたので付け足しておきますが エビは交尾してから抱卵しますので 抱卵した時には既に受精していると考えていいのです。
●抱卵から孵化するまでの期間
親エビが卵を抱いてから 孵化するまでの期間は、採集した場所によって異なるそうです。
見聞きした所によると、琵琶湖のスジエビは最も卵が小さく、抱卵期間も長いらしいです。うちの抱卵したスジエビは琵琶湖産ではなくダム湖産で、抱卵期間は(はっきり記憶していませんが)20~30日程度だったような。
●卵から孵化して出てくるのはエビの形をしていない
 小さいエビではなく、頭を下にして泳ぐプランクトン様の ゾエア幼生と呼ばれる形です。親と同じ餌は捕食できません。自分より小さい動物プランクトン・植物プランクトンを食べて成長します。脱皮を数回繰り返したのち、やっと親と同じ形の小さいエビになるのです。

スジエビの食性や性質

●なんでも食べるがコケはとりません
コケ(藻)をとらない、というのはちょっと言い過ぎでした。たまには少し食べる程度ですのでコケ取り役としては使えません。新芽もかじる、かもしれませんが、食害という程気にはなりません。
●暑いのは苦手です
28度程度までなら(ゆっくり水温が上昇していったとして)大丈夫ですが、結構冷たい水を好みます。渓流並みの低水温でも大丈夫です。
●エアーも充分に供給してやります
陸での呼吸はできません。酸素不足に弱いので注意が必要です。エアレーションを充分に行ってあげましょう。
●よく泳ぎ、よく歩きます。水中には中継地点、底には砂が欲しい!
水面に浮いているエサを泳いでキャッチしたり、逆さで泳ぎながら粉エサをあつめたりする面白い仕草も見られますが、長めの水草や流木、浮き草なんかを何カ所か中継地点にしてやると一層よく泳ぎます。また、かなりよく歩き回りますが、底砂がないと水流に負けて滑ってしまいます。砂や石・岩など、足場になるものを底に入れてあげましょう。主には夜行性のようですが、昼間も動いてくれます。
●よく跳ねるので水槽にフタは必須
上部開放型のアクアリウムには向きません。外に飛び出して全員乾燥エビになってしまいます。
●性格
常に食べ物を探してウロウロチョキチョキと手をつっこんでまわります。
肉食ですが わりあい他魚との間は平和的です。
混泳も、常に泳ぐような魚なら大抵は大丈夫ですが、あくまで肉食なのでヌマエビのような飼育密度は禁物です。 食性・習性を理解して節度のある飼育量にしましょう。
弱って死を待っているような魚、死んで沈んでいる魚、魚の卵、動きのとてもニブい生物などは食べますが、健康に遊泳している魚に手を出す事はありませんでした。
手長エビ科とはいえ、あまりにも貧弱で小さなハサミしか持ち合わせていないのです。うちでは小さなヨシノボリ(1.5cm)がエビ(5cm)を他魚の攻撃のタテに使っていたりします(エビの背後に隠れたり、住処にしている穴に逃げ込む)。また、プレコの上に乗って体表の「何か」をとっている様子もよくみかけますが、痛いわけではないようです。しかしウザいので敏感なタイプの魚にはストレスになるでしょう。もちろん、魚にエビが大量にまとわりつくような密度はダメです。

スジエビと他の魚の混泳 その1

エビ・カニは海(川)の掃除やさんと言う人もいます。死んでしまえば何でも食べるのですが、死んでいなくても水底で横たわったり泳げなくて漂ってるほど弱っていれば、生きていても食べます。
私は正直言って スジエビに捕まるほど弱っている魚であれば 食われても仕方ないと思いますが、考え方は人それぞれです。
可哀想だから死ぬ瞬間までキレイな身体でいさせてあげたい、と思うのであれば スジエビと魚の同居はおやめになるべきでしょう。また、同じ水槽内で魚を産卵・繁殖させたいならスジエビに限らずエビと魚の混泳は避けるべきだと思います。
同居ならわざわざ大きい固体を選んで飼うのはパワーがありすぎるのでよくないです。
小さめ・かつ魚の口にあわない程度のサイズを選ぶのがいいでしょう。

それはそれで仕方ないと思う方は 次を読んで自分で考えてくださいね。

●今まで同居した事のある魚・エビ
メダカ、ドジョウ・アカヒレ・ヨシノボリ(大小いろいろ)・プレコ・コリドラスなどと混泳させた経験がありますが、問題があると感じたことが1度だけありました。
スジエビはザリガニの極小サイズがお好きのようで、見つけたが最後、追いかけて捕まえて食べます。。
あと、ミナミヌマエビと混泳してましたが、健康な親ミナミは襲われる様子は見られませんでした。しかし、脱皮時や稚エビはこの限りではないと思われます。
くつろぐコリドラスとスジエビ
●ヨシノボリ同居余談
1度だけですが スジエビをノドに詰まらせてヨシノボリが死んでしまった事があります(涙
ハゼの類は結構無茶をするようなので 口に入りそうだと思ったら気をつけましょう
●アロワナ同居余談
さらに余談ですが、アロワナとは一緒に飼わないほうがいいと言う知り合いがいました。育ちすぎて水槽内で反転するのがきびしいという状態のアロワナにスジエビがたくさんまとわりつき、鱗の中にハサミを突っ込んだせいで驚いたアロワナが大暴れしたらしいのです。うーん。それは問題が違うような、、、
●プレコ同居余談
セイルフィンプレコの体表に出来てしまったビラビラしたデキモノ状のものちぎって食べるのを目撃。
プレコは無視していますが、たまにカンに触るようで、思い切り振り払います(スジエビも命がけ、、)

スジエビと他の魚の混泳 その2

バーチャル問答 魚とスジエビの混泳について
「よく 魚と混泳は危ないと言われますがほんとですか?」
ええ。危ないです
「でもあなたは混泳させてますよね。大丈夫なんですか?」
「スジエビがどんな食性か考えたら、単純に大丈夫なんてありえないです。
余裕のある水槽密度で、エビ非常に少なめが第一のポイントです。
混泳魚は遊泳力のある魚、エビよりでかい魚
稚魚は遊泳力に劣るので危険、衰えた病魚も食われます。
混泳ダメと言われたらどんなケースでもダメ、大丈夫と言われたらどんなケースでも大丈夫、
こういう単純な考え方をする方には、危ないからやめとけ!!というのが一番安全で確実です。
ですから、危ないですよ、と言ったんです」

混泳するなら 魚も余裕のある密度で、エビはものたりないぐらい少ない数にするのがよろしいです。

ケース1 動かないタイプの魚がいる水槽に スジエビをウジャウジャ入れてもいい?
-------- >なんというか論外です ヤメテネ
ケース2 ウロコがなく動きも少なく体表が粘膜でおおわれているような魚と混泳させていい?
-------->これは粘膜を食べる可能性があるのでバツ!(藻食中心のエビでも同じです)
ケース4 魚が弱ってきてフラフラと浮いたり沈んだりしているが、スジエビは襲うか?
-------->もちろん食べるでしょう
ケース5 魚のベビーが生まれたが、スジエビは襲うか?
-------->見つけたら絶対食べますネ
ケース6 同居させているヌマエビが脱皮しました スジエビはヌマエビを食べちゃう?
-------->殻が固くなるまえに水槽内で出会ってしまったら食べる可能性は大きいです
ケース7 魚が卵を産みましたが スジエビは卵を食べちゃう?
-------->見つけたら食べるにきまってますネ ただし ヌマエビであってもそれは食べます
ケース8 1cm以下のザリガニの子供と同居させたいけど、大丈夫かな?
-------->ザリベビーは泳力が弱く、1回の遊泳距離が短いので 見つけたら100%食べられます

混泳総論
魚と混泳するなら 魚種をよく考え、魚・エビともに余裕のある密度にすること。飢えさせないこと。
60cm水槽でも お掃除屋としてのスジエビは絶対1ケタ以下
(2~3匹程度で充分掃除してくれます)というのが私の結論です。
人によって、同じ水槽の魚を見ていても、密度の余裕は人によって感じ方が違うと思いますので、エビを中心に考えてみて、魚とエビがしょっちゅう出くわすような密度は混泳に不向きだと思って下さい。
みなさまは、よく考えた上で、ご自分に合った結論を導き出してください。

アマゾンソードの根本で餌探しをする大きめの個体
水槽でのスジエビの行動

スジエビが熱帯魚水槽にいた頃は、長い手と小さなハサミをうまく使って、砂の間や流木のすきまに落ちた、ごく小さなこぼれ餌を器用に拾っていました。タニシも好物の一つでした。

ひっくり返っているタニシを拾うと、それは大騒ぎして取り合うのですが、残念ながら、わざわざタニシを「探してまで食べる」ことはありませんでした。

その後 スジエビの寿命が来てしまい 熱帯魚水槽内のスジは1匹もいなくなってしまったのですが 結果、ミズマイマイは繁殖するわ、小石の間に落ちたエサは取り除かないとカビるわで、スジエビさまさまだったなあと思ったのでありました。

隙間に落ちたアカムシも拾いつくす
ビワコヨッシー水槽で残餌処理に活躍するスジエビ。