川魚の稚魚を飼う 2 何の稚魚?

今回タモ網で掬ってきたのはハヤのつもりだったんですが、少し違うような。判明は成長を待ってのお楽しみ。 2000.3月採集


準備など
 春の兵庫県武庫川。川幅は広いのですが、中洲があって小さな支流なども数本入り組んで存在します。おかげで稚魚たちの絶好の隠れ場所ができていました。
 中洲にわたると、水倒木の陰にかくれて、数千~数万とも思える稚魚たちがさざめいています。このあたりは水深も浅く、夏が近づけばけっこう高い水温になる場所です。ちなみに水質はあまり良いとは言えません。今回ははっきり稚魚掬いと目的を定め、中層を泳ぐ川魚の稚魚を10数匹いただきに来ました。
 採集に用意した道具は目の細かいタモ網(長柄で伸縮するもの)とブクブクつきのエビ用クーラーボックス(釣りに使う活エサ用のもの)です。
 この活エサ(エビ)用クーラーはとても便利で、ブクブクをセットして固定する場所もついていますし、短いホースを接続するだけでクーラーの底からエアーが出る仕組みになっています。内側にはエビ用のネット(取り外し可能)もついていて、箱本体は保冷・保温効果もある程度あり、多目的な採集と持ち帰りにもってこいです。
 新魚を持ち帰るためのトリートメント用の水槽も用意してあります。苔つきの岩や隠れるための植木鉢(素焼き。既に水槽で使用していたもので、自然発生の苔つき)など入れて、誰が来ても大丈夫、だと思うのですが。

正直、写真に写るとは思わなかったほどの小ささ
まずは種類を確認、そして採集
 何の稚魚なのか、まずは確認。1匹おおきめの魚をそっと掬い、落ちていた透明の容器に水を張って魚を入れます。さて何の稚魚かな?あれ、、、またわからない(涙
 「稚魚なんて皆同じ顔だし」 と誤魔化しつつ、とにかく彼らを持ち帰る事に決定しました。
 飼育目的ですから、元気のよさそうな集団にそっと網を入れて掬い、すばやく用意した活エサボックスに投入。今回もまた針のような稚魚たちを、10数匹採集して帰る事となりました。エサとり争いなどで体格負けした個体が餌がまわらずに死ぬ事も考えて、なるべくサイズを揃えたつもりですが、少し大小まざったようです。

水温をあげること5時間。

 持ち帰った魚を、まずは温度合わせです。エビクーラー内の水温を測ると、12度でした。現在、水槽の温度は23度ですが、そのつもりで採集場所を選びましたし、ゆっくりした水温あわせができるよう、クーラーいっぱいに川水を持ち帰ったので大丈夫だろうと思います。
 12度から23度まで、水温を11度上げるわけですが、大体3~5時間近くかける予定でつもりでした。
ちょっと厳しいように思えますが、実際は、後に水温が高くなりそうな中流の浅瀬をわざわざ選んで採集したので、私としては大丈夫だと考えています。
 部屋は暖房をかけていますから、クーラーのフタをしたまま室内で一番寒い窓際の床においてゆっくり様子をみつつ自然に温度を上げていきました。

 30分程して水温の変化をみると、微動だにしていません。おそるべしクーラーボックスの威力。しかたがないのでクーラーを部屋のまんなかの机の上にあげました。
 もう30分程して、水温の変化をみると、またしてもピクリとも変わっていない水温。 クーラーBOXパワーに敬意を表しつつ、フタをあけて水温上昇を待ちます。
 フタをあけて待つこと1時間(はじめからあわせると既に2時間経過)。ようやく水温が上昇を始めました。

結局5時間・夜中までかかって室温と同じ22度まで水温を上げました。

PHチェック

川水のPHを試験紙で測っておきましたが、水槽と同じでした。 ちなみに我が家の水槽は大体PH7です。

水あわせ中です
水あわせ(魚を水質に慣れさせる)開始

 
PHがほぼ同じということで、割合ハイペースの水合わせにしました。クーラー内の川水1リットル程度を入れたビニールに稚魚を移し、水槽にそっとうかべます。大きめのスポイトいっぱい(50cc弱)に水槽水を吸い込んでビニール内に注入し、まずは苦しげな様子がないか観察します。
 5分後。稚魚に変化はなく、今度はビニール内の水をスポイトで吸い取って捨て、おなじ量の水を水槽内からとってビニールに注入します。5分おきくらいにこれを数回繰り返し、ちょっと心配になってきたのでビニール内に保険をかけて微量のエアー投入。約40分後、ビニールを水槽内でかたむけて、まずは1匹水槽に放します。
 よし、元気そうです。ここでエアーをはずし、完全にビニールの口を水槽内に解放して稚魚全員投入です。

元気いっぱいの稚魚たちは、水槽のライト消灯にパニックをおこしたりしながらもなんとか慣れ、あちこち探検しています。苔つき岩や植木鉢をしきりとついばむ姿や魚体をみて、「鮎じゃないの?」という意見も出ましたが、ハヤのような気もしてはっきりしません。ですが、ハヤの稚魚の時と違って底が好きなようで、水流にのりながら底床すれすれを群れ泳いだり、もうはや植木鉢の上を縄張りとしたごくわずかに大きめの個体もいたりして、正体を知るのが楽しみです。
正体判明。観察記へ続く、、、