ヨシノボリを飼おう

全国に分布している小さなハゼ科の魚。その亜種は正確に把握できない程多数。  

色は時折変わり、興奮すると濃い色になりますが
とことん落ち着いているとこんな色にもなります
よしのぼりは食用にも供される小さな川魚ですが、動きや習性の面白さから我が家のスターです。

夏場の水温上昇は敵!
採ってきた場所によらず、夏場の水温上昇に弱いように思います。ぬるい池にもいましたが、野池では室内ほど水温があがる事はありません。
夏場、クーラーをつけた室温が25度であっても、ガラスフタをしてライトをつけた水槽内の水はもっと高くなります。

水質はさまざま
水の汚れには比較的強い種類もありますが、渓流に住むものもいるので、とってきた場所の水質を参考にするのがいいでしょう。近所のため池にもいたりしますから、強さで選ぶなら、こういった場所の個体のほうがいいかもしれません。

ダム湖に住むヨシノボリたち
フィッシュイーターです
ハゼ科だけに、丸飲みタイプのフィッシュイーターですから、飼うヨシノボリと同じ~小さな魚やエビとの同居は向きません。とてもよく開く大きな口をもっています。

人工飼料もよく食べます
 まだ小さい個体なら、一般的な淡水魚用のフレークえさ、粉えさもよく食べます。 うちではベビーの頃「キョーリン飼育教材 メダカ・タナゴ・フナのエサ」(200円)を与えました。
 少し大きい個体だと、最初は完全に人工のエサに慣れにくいようですが、冷凍の赤虫なら大抵よく食べるようです。

野池のヨシノボリベビー。実寸はまだ2cmです
雌雄とも、なわばりを持ちます
同族間でのなわばり意識がはげしく、体にあわない広さのなわばりを持ちます。ふんだんに隠れ家を作ってやらないと、エサにありつけずに、あるいはストレスで、死んでしまいます。


顔をよせてじっくり見る魚
とにかく細かな動きの面白い魚です。数少なく飼って、各個体をよく観察するのが楽しいと思います。威嚇する時にヒレを光らせて広げる様子や、口を大きくあけて体をそりかえらせる様子など、様々な変化で楽しませてくれます。遠くに水槽を置いて眺めたのでは、この魚の良さが味わえません。

繁殖にもチャレンジ
(水槽内で繁殖を楽しめるのは、川で一生を過ごすタイプのヨシノボリに限った話です。回遊性のものは一般に困難です)

うちのヨシノボリは5月頃、つがいで求愛ダンスを踊ったり、水槽内でも石の下を口を使って器用に穴を掘って巣を作り、2匹そろって入っている様子を観察できました。
夏場の水温上昇対策ができていない頃だったので、産卵をまたずに放流してしまいましたが、自然の川や池では初夏から盛夏に巣を作り、巣の石の裏側に卵を産み付け、雄が卵を守るようですので、それを考慮したレイアウトにすれば巣づくりの光景を見られる事でしょう。

オスメスの違いは口元で見るようですが、図鑑の受け売りになってしまいますので、淡水魚の本などを参考にして下さい。なお、ヨシノボリの寿命は3~4年だそうです。

背鰭が見事なオス
採集する湖池や川をあらさない!

この小魚の存在を知ったならば、細流の浅い水中にも、石の下に住むヨシノボリやその卵をふくめ、多くの生き物が生きている事を思い起こしてもらえるでしょうか。
川の中に入った時、自分の足下にあるのは石や砂だけではない事を忘れずにいてほしいのです。

陸から網の届く範囲にも、たくさんヨシノボリはいます。これからも長く楽しめる川であるように、心配りを忘れずにいたいです。



左の写真は、きれいな浅い川で見つけたカワヨシノボリのオス。
繁殖期なのでヒレが長く紅色で綺麗です。
水からあげずによく見せてもらったあと、すぐ放してやりました。